北方水滸伝 ようやく完読

北方謙三水滸伝

ついに全巻(文庫本19巻)読破!
第一巻が出た2006年10月から最終巻が発売された今月2008年4月までの18ヶ月、毎月発売されるのが楽しみだったよ。しかし。今月はついでに替天行道(たいてんぎょうどう)まで発売されたのでそちらもゲット。

ざっくり本来の水滸伝って108人の英雄たちが梁山泊に終結し、宋と戦うって話。北宋の徽宗期に実際に起こった反乱「宋江の乱」が元になってるとはいえ殆どは作り話。それも妖術や道術など魔法使いまで登場するなど、結構現実離れしている。

そんな話を北方謙三が一旦分解。そしてそれを一つ一つ組み直し、不足する部品を独創し穴埋めし、矛盾する部分は補修・削除・新設。個々人の性格を形成するため人間臭いストーリーが肉付けされる。不自然な魔法使いの存在は闇の組織へ転換させる。また108人は集結する前にドシドシ死んで行く。などなど。北方謙三オリジナルの設定で新しい水滸伝の世界観は構築されているのだ。そのため原典である水滸伝を愛する人にはおそらく受け入れられない新しい水滸伝といわざるを得ないものなのである。

なんて、原作も知らない俺なので水滸伝と言えば北方水滸伝がすべて。偉そうな事は言えないのだ。

と言うことで北方水滸伝だけを知っている俺の感想は、、、最高傑作。きっとどの作家よりも北方謙三の文章は読み易いし、心に沁み込んでくる。言うなれば映画を見ているような漫画を読んでるような気分になるんだよ。また人間臭いストーリーに綺麗ごとなどまったくない。男は男として女を好み女に狂う。人には言えない暗い過去を持つ人間も多い。そして梁山泊ばかりが正義ではない。官軍にも正義があり、本来あるべき国の姿は今の国の姿だとは思っていない人間も少なからず存在させる。憎い青連寺の李富などは一歩間違えば梁山泊の一員になってもおかしくなかったと思っている。

そんな人間と人間の熱く長い戦いに俺はどっぷり嵌ってしまった様だよ。

あ、さてそんな中、一番好きなキャラクターは、天下無双の槍遣いで最強の騎馬隊隊長、豹子頭林冲。武力の異常なまでの高さには当然魅力があるのだが、騎馬隊の機動力が半端じゃない。何かあればすぐに駆けつけるスーパーマン的存在に憧れを感じる。当初官軍の作戦では彼の存在を考慮せず何度も失敗させられてしまう程だ。まさかありえないと思う距離を予想もできない時間で駆けつけて圧倒的な武力であっという間に敵を蹴散らすんだから。でもいつも思うのは、そんな彼の槍は師匠の王進と肩を並べるレベルだということ。それ以外の武器では及ばないというのだから王進にはまったく敵わないというところだろう。

その次は黒旋風李逵かな。板斧の威力は凄まじいよしかし。トマトでも斬るかのように首を次々に斬り飛ばす。また簡単に石を真っ二つに斬る。王進とどっちが強いのかとちょっと思ったね。またその武力も好きだが、料理上手ぶりと純粋さに心惹かれる。「志なんてよく分からない。」「ただ仲間が殺されるのは悲しい。」彼はそんな事を言うんだ。でも志だってその心は仲間を守りたいってことなんだから合ってるんだ。

超人ぷりだけで見たら、岩に突き刺さると言う花栄の弓の威力は恐ろしい。盾なんか貫くからね。あと虎殺しの武松の拳も恐ろしいね。

あまり細かい部分まで書くつもりは無いのでここまでにしておこう。


こんな風に楽しかった水滸伝もこれでお仕舞い。続編の「楊令伝」(水滸伝でも伏線は敷かれている)もあるのだが、まだ文庫本出るのはだいぶ先だろうな・・・。というこうで、水滸伝の前の時代、宋建国の頃のお話「楊家将」(上下巻)を買ってきたよ。まだ少しだけ楽しめそうだ。

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